プランツ・ドール伝説


ある朝、白ウサが出勤すると、
そこには読書中のハシボソ君が。

「おはようございます!」

「おはよう。」

振り向いてもくれません。

「何読んでるんですかー?」

ドスッ

「うわ!僕の上に乗るな!」

結構実力行使の白ウサ。


「今度グラエリに“プランツ・ドール”が入るらしいんだよ。
ん?聞いてる?」

白ウサは本の中身に興味津々。

「プランツ・ドール?」

白ウサにとっては初めて聞く言葉です。

「プランツ・ドールっていうからにはあれですか、
頭のてっぺんから植物が生えちゃってるとか。」

「オマエねぇ・・・どんな知識なんだよそれ・・・。
 僕も実物は見たこと無いんだけど、
なんだか扱いが大変らしいんだ。
 お家が決まる前に、僕らの管理のせいで
枯らさないように勉強してるんだよ。」

「ふーん・・・ボクも一緒に勉強させて下さい。」

「もちろんさ、良い心がけだ。」


それからはプランツ・ドールをお迎えする準備に
かかりきりの二人。

「えーとミルク用の高級磁器セットに砂糖菓子、と・・・」

さすがにしっかり勉強しているハシボソ君。

「一応念のために
銀の水差しも用意してみました。
 向こうにはシルクのシーツも
置いてあります。」

「おぉ、気が利くな〜白ウサ!
さすが僕の後輩!」

二人ともとても楽しそうです。


「どんな子が来るのかな〜」

「なんでも“緑青(ろくしょう)”という
名前がついているらしいよ。」

「ろくしょうって何ですか?」

「銅に出る青緑色のサビだね。
でもそれ自体はとても美しい色を
しているんだよ。」

「へ〜・・・じゃあ綺麗な
ブルーグリーンの瞳とかの子
なのかなぁ・・・」

「そうなのかもしれないねぇ〜。
しかもお人形と一緒に来る物聞いた?」

「え、付属品があるんですか」

「すごいよ〜、ドーム状の強化ガラスケースにガラスの椅子、それに赤い絨毯だって。」

「うわ〜・・・楽しみだな〜・・・ガラスの椅子か〜・・・」

妄想は膨らむばかり。


そして当日

「嬉しいな〜♪いよいよだ〜♪」

「楽しみですね〜〜〜わーいわーい♪」

もはや仕事そっちのけで大はしゃぎ

「“緑青”が到着したよ」

店主の声に二人の理性の糸は切れる寸前

「見に行こう!!」

ドーーーン・・・・・

ハシボソ君、目が点・・・。

「・・・やっぱり頭から植物生えてますね・・・
・・・ガラスの椅子って・・・。」

「・・・・・・」

「ハシボソさん、“緑青”ってこれ?」

「・・・緑青っていうより・・・
・・・カビ・・・もしくは・・・コケ・・・」

キョロリ

「うわっ、こっち見たっ!」

ジーーーーーー・・・・

「この子、お口がないですねぇ・・・
口がきけないのかなぁ・・・」

ジットリ・・・

一瞬ハシボソ君の脳裏をかすめた不安、それは・・・。

「まさかコイツ・・・グラエリの店員になるんじゃ・・・・」

その予感はきっとハズレないことでしょう・・・。


おしまい




“緑青”は「コケ丸君」という既製品です(笑)。
グラエリが入っている雑貨店A’HOUSEで現在発売中。(2002年9月現在)
もっと苔むしてる子とかもあるんですが、
顔面の上半分が緑とかってどうよ・・・顔色悪いだろそれ・・・
というわけで、ノーマルスキンカラーをチョイス。
でも全身コケ色の子もいて、ちょっと(かなり)気になってます・・・。

“緑青”は目が近すぎたので、カスタムして(大げさ)目を離しました。

お客様のM様(なぜか伏せ字)が「これが本当のプランツ・ドールだね」
みたいなことをおっしゃってこのストーリーができました。

現在はグラエリ店内ですくすく成長中。
果たして何日生き延びるのかは謎・・・。

ちなみにコケ丸君のサイトはこちら。
Ark Tree
メール犬欲しいかも・・・(独り言)。



出演(敬称略):ハシボソ(製作:noe
白ウサ(製作:ikumi、型紙製作:「○co.」Kurumi
緑青(販売元:Ark Tree


参考:「観用少女(プランツ・ドール)」川原由美子

構成:いつも同じ貴族

※ここに写っているハシボソ、白ウサ、緑青は貴族の個人蔵です







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